鹿児島日帰り旅 〜Vol.3〜

記事をシェアする

薩摩高城駅から再び肥薩おれんじ鉄道のHSOR-100形に乗り鹿児島方面に向かいます。新八代駅から乗車した列車でも感じていたのですが、

1両編成なのにさほど混雑しておらず、八代駅を出て若干混雑はしていたものの県境に近づくにつれて乗客は徐々に減り、立客はいないが空席がちらほら目立つようになってしまいました。

肥薩おれんじ鉄道は、2004年3月の九州新幹線(新八代〜鹿児島中央)の開業時に並行在来線として鹿児島本線の八代〜川内駅間をJR九州から引き継ぎました。本来、整備新幹線の開業に伴い並行している在来線が第3セクターに分離・移管される場合、県を跨ぐ際はそれぞれの県が鉄道会社を設立して経営をJRから引き継ぐのが基本ですが、肥薩おれんじ鉄道は熊本・鹿児島両県の間で意見の食い違いが生じたことから出資および初期投資の負担は1体1とするなどを条件に2つの県に跨った区間を1つの第3セクターの鉄道会社による運行となり2002年10月、肥薩おれんじ鉄道が設立されました。肥薩おれんじ鉄道では開業当初からコストカットを積極的に行い、その1例が全線電化されていながら所有車両は全て気動車という形態です。肥薩おれんじ鉄道に転換された区間はJR時代から貨物列車が運行されており、仮に架線の撤去など非電化を行うと、ディーゼル機関車の用意と、機関車の付け替えによる時間の増大、新たな作業要員の確保など高コストになってしまうことから貨物列車は引き続き電化、旅客列車は非電化による運行となっています。この方式は、後にえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインと道南いさりび鉄道にも導入されました。ちなみに、JR九州から475系を譲り受けるという案もありましたが、老朽化が著しかったことと3両編成では輸送力過剰とみなされ、また、1両編成の交流形電車は量産タイプが無くコストも直流形電車に比べ高いことからコストが抑えられ広く普及している気動車が選ばれることとなりました。

しかし、利用客数は過疎化や少子高齢化、さらにコロナの影響もあり年々減少。2023年、鹿児島県内の43市町村で結成される県市町村振興協会が、同年度から5年間で最大7億1900万円の支援を決定。ただ、支援は今回で最後という条件付きとなりました。肥薩おれんじ鉄道は正に正念場を迎えており今後の出方次第では更なる縮小を余儀なくされるかもしれません。

なお、2020年からJR九州の観光特急「36ぷらす3」が毎週木曜日のみ肥薩おれんじ鉄道線に乗り入れており、使用車両はかつて特急「つばめ」として鹿児島まで来ていた787系。週1回のみですがかつての鹿児島本線に顔を出すこととなりました。もし架線が撤去されていたら、787系が再び走ることはなく「36ぷらす3」のルートも違ったものになっていたかもしれません。さらに、2021年と22年にはリバイバル企画として787系を使用した「つばめ」が運転され、当時の放送などが再現されるなど往年のファンを喜ばせました。また、肥薩おれんじ鉄道にはクルーズトレイン「ななつ星in九州」が乗り入れるほか、観光列車「おれんじ食堂」も運行しており観光需要にも積極的に力を入れています。肥薩おれんじ鉄道の取り組みがプラスになることを願いつつ終点の川内駅で下車。

かわうち」と読んでしまいそうですが正しくは「せんだい」。宮城県にあるほうを思い出してしまいそうですが、ここは鹿児島です(笑)

新幹線が停まるという共通点を持っているためか、まさか「青梅」と「青海」のように宮城ではなく鹿児島の「せんだい」に来てしまった人はいるのでしょうか?

そんな紛らわしさを感じつつ川内からは再び鹿児島本線に乗り鹿児島中央駅へ。川内駅の在来線ホームは1面2線ですが、JR九州と肥薩おれんじ鉄道が半々で使用しており、このうちJR九州が使用する1番線と肥薩おれんじ鉄道が使用する3番線は同じホームでありながら線路上に車止めが置かれ分断されてしまいました。一方、JR九州が使用する2番線と肥薩おれんじ鉄道が使用する4番線同士の線路は繋がっており、通過列車やJRに乗り入れる肥薩おれんじ鉄道の車両はこちら側を使用します。ちなみに、ホームの隣には2004年3月の新幹線開業および駅舎の橋上化まで使われていた旧・1番線ホームがあり、当時の駅名標やレールや信号機も残されており信号機に至っては使用停止を示す「✖︎」印があるものの、赤信号が点灯していたりと一瞬現役かと思ってしまうほどの感覚になりました。構内にある貨物ターミナルには、去年12月に脱線したEF81-406が留置されており九州を走る他のEF81形は定期運用を終えているのを見ると、406もこのまま廃車になりそうと思ってしまいました。いま思うと「写真撮っておけばよかった」と後悔しています・・

川内駅から乗車するのは817系。817系と言えば黒の本革と木を使った座席が特徴ですが、近年は転換クロスシートをロングシートに改造した編成も登場しており今回乗車した817系も元・転換クロス車でした。私自身、何度かロングシート化された817系に乗ったことはあるのですが、私鉄でよく見る「デュアルシート」みたいだなと思いました。車端部はロング化されていないため、どうしてもという時は車端部を狙って座りに行こうとしています(笑)

川内駅を出発して4つめの神村学園前駅で学生が大勢乗車し車内はラッシュ時さながらの光景に。野球ファンなら聞いたことがあるかもしれませんが、一昨年と去年夏の甲子園でベスト4まで進んだ神村学園の校舎があるためで、神村学園は初等部から高等部まであり多くの学生が在籍していることから駅の利用客もその分多いとのこと。ちなみに、神村学園前駅は鹿児島本線では八代駅以北、川内駅以南では唯一の棒線駅です。終点の鹿児島中央駅に到着し乗り換えや改札口に向かう人たちで混雑。混雑したホームで次に乗るのは日豊本線の国分駅に向かう普通列車。乗車するのはキハ47形。日豊本線は全線電化されていますが気動車であるキハ47形も運用に就いています。鹿児島中央駅を出発して市街地を走ると鹿児島駅に到着。この駅が鹿児島本線と日豊本線の終点で開業も鹿児島中央駅よりも12年早く開業したものの、戦後の市街地整備により西鹿児島(現・鹿児島中央)駅が発展した結果、鹿児島駅の地位は低下。「アミュプラザ」などのビルが建ち、新幹線が停まるようになった鹿児島中央駅と比べると、鹿児島駅は地味な存在になってしまいました。鹿児島駅を出発し日豊本線に入って最初の駅「仙巌園」で下車。ホームは仙巌園に向かう人と列車に乗るためホームで待つ人とで混雑。ホームからは錦江湾と桜島が一望でき改めて桜島の大きさとその荒々しさを実感しました。

 

 

駅を出て少し歩くと国の名勝地「仙巌園」に到着。チケットを買って園内に。

つづく

記事をシェアする

前の記事

鹿児島日帰り旅 〜Vol.2〜

次の記事

鹿児島日帰り旅 〜Vol.4〜